太刀の真髄『五ノ太刀』 -文字で見る合気道の技-
こんにちは!
今回は合気道の太刀の真髄である『五ノ太刀』について紹介したいと思います!
少し私の通っている道場についてお話しいたしましょう!
私の所属している道場では,故 高岡貞雄(たかおかさだお)師範の技を受け継ぎ稽古に励んでいます.高岡貞雄師範は開祖:植芝盛平翁先生から直接手ほどきを受けられた先生です.合気会和歌山支部道場長として活躍されていました.
高岡貞雄師範は『道文』と呼ばれる合気道の精神世界を描いたものを特に研究されました.
※合気道の精神世界については以下の記事にて解説をしております.ぜひご覧ください!
※このお話の基礎となる古事記についてもまとめておりますので,合わせてご覧ください!
さて,今回は様々な奥義の中でも『五ノ太刀』という太刀の真髄についてご説明したいと思います.
ただ,まだ私ではよくわからない部分もあったりするので(合気道の真髄は奥深くて一筋縄ではいかないのです...学生だから許してちょ),備忘録的な記事になるかもしれませんがご了承ください!
さて,『五ノ太刀』は開祖が和歌山に滞在後東京へ行かれる際に,高岡貞雄師範を相手に1週間,一対一で行われた師範稽古で直伝された剣の理(ことわり)です.どの型においても最短距離・最小時間で相手に斬りつけるという実践性・合気道の術理,高岡貞雄師範が研究された『道文』のエッセンスが多分に内包されています.
※私の所属している道場で作成した『五ノ太刀』の紹介動画です!こちらをご覧いただくことで今回の内容がより味わい深いものになると思います.是非ご覧ください!!
さて早速『五ノ太刀』をみていきましょう.ただ参考にした文献は難しかったので,こう動けばいいのではないかという私の解釈も添えておこうと思います笑.
一ノ太刀:
相手が撃ち来るに合わせ剣を振りかぶる.この時相手の攻撃線(相手と自分を結ぶ直線)の外側へ歩を進め,相手の斬撃をかわしつつ,斬り落とす.相手の攻撃しようとする気の起こりを察し,それに反発することなく吸い込み勝ちを得る.
(解釈)
まずお互いに剣を持って構えます.この時相手は剣を振り上げてまっすぐ自分に向かって斬り掛かってきます.そのまま同じように自分も斬りかかると相手の剣が自分に当たってしまいます.そこで自分は振り上げて下ろす時に,斜め前に歩を進めることで,相手の攻撃を交わして剣を振り下ろすことができます.
二ノ太刀:
相手の起こりに合わせ自ら入り斬り上げ,さらに攻撃線を外しつつ斬り落とす.いわゆる"後の先"で相手を撃ち倒す.一の太刀と同じく相手の気勢を察するが,相手の起こりを誘う意味においては,より精妙な合気が必要とされる.
(解釈)
まずお互いに剣を持って構えます.先ほどと同じように相手が剣を振り上げてまっすぐ自分に向かって斬り掛かってくるわけですが,一の太刀と違うのは,この動きをこちらから誘うということです.まず斜め前に歩みを進め,攻撃線から外れます.そして相手の腕を切るような形で構えます.すると相手は慌てて剣を振り上げ,斬り落としてきます.あとは斬り落とすと同時に相手の胴をばっさりとなぎはらいます,
三ノ太刀:
鎬(しのぎ:剣の一番高いところ)を押し当ててくる相手に対しこれを一瞬受け,受けた刃の位置はそのままに歩を進め胴をなぎはらう.一瞬受けることが相手の足を止め"居着く"状態を作らせることが重要.また相手との接点が変わらないことが,相手にとって自分の位置が変わったことを感じさせず,より"居着く"状態が長くなる.
(解釈)
今回は相手の剣が上がらないようにします.まず相手が剣を振り上げようとする瞬間に自分の剣を上に乗せて振り上げを阻止します.そのまま自分の重心で相手の剣が上がらないようにしてスルスルと剣を滑らせていきます.相手の手元まで滑らせたら相手の胴をなぎはらいます.木刀であれば,スルスルと滑らせるだけで相手の親指をはねることができるので,それだけで相手を無力化できます.
四ノ太刀:
相手が突き来るを交わしつつ反転・接近・剣の引きも合わせさらに接近,胴をなぎはらう.吸引しつつ捌き,相手の動きとぶつかることなく斬りつける.体捌きを抽出して見ると入り身投げの形が浮かび上がってくる.
(解釈)
今回は相手が剣で自分を刺してきます.まず,少し後ろに下がりつつ相手の1回目の突きを剣を当てて左にそらします.次に相手は再度ついてくるので,今度は剣を当てて右にそらします.そして相手の剣を上からくるっと回すようにしてなぎはらいます.すると相手の剣は上に上がった状態で胴がガラ空きとなるため,ばっさりとなぎはらいます.
五ノ太刀:
正眼より八双更に脇構えより互いに位置を横へ変えつつ剣を振り下ろし,更に振りかぶる相手に対し突き込む.曲線の捌きと直線の強い攻撃線が連結した合気道独特の捌きに通じる型といえる.
(解釈)
お互いに脇に剣を構えます.そしてお互いに剣を振り下ろします.相手はこれで斬り落とせないのでもう一度剣を振り上げます.この隙に相手に向かって剣を突きます.
さていかがだったでしょうか.やればやるほど奥が深い『五ノ太刀』.ただかなり難しいです...!!私も練習していますが,なかなか難しい....笑
まさに秘伝の技ですが,皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
ではでは.今回はここらへんでお暇いたします.
※一人で木刀を使った練習をしたい!という方は以下をご覧いただければと思います!!