カント哲学と合気道② -カントを知るための「批判哲学」-
こんにちは!
今回もカントの哲学と合気道の組み合わせでお話していきます!
前回はカントとはどのような人物を見ていきましたが,今回は特にカント哲学を理解するための肝となる批判哲学というものを解説していきます.
・批判哲学とは何か
カントは『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』という3大批判書を書きましたが,ここで注目してもらいたいのが全てのタイトルに「批判」という言葉が入っていることです.これは批判哲学と呼ばれ,次のことを否定する内容です.
1.経験論:
自分の目で見たこと以外は信じないという考え方.
例:自分は宇宙に行ったことがないので,宇宙というのはもしかしたらないかもしれない.
(批判)いやいや,経験していないことなんだからわからないでしょ!!
2.合理論:
自分の頭で考えたことしか信じないという考え方
例:自分はどこか別の世界の人間に操られているかもしれない
(批判)いやいや,もしその考え方間違っていたとしたらただの空想でしかないよ!!
つまり経験論だけ,合理論だけで考えるというのは不完全なのではないかと考えました.
・人間の理性について
カントは人間の理性というものについて考えていました.そして次の2種類に分類できるとしました.
1.理論理性:
認識能力.いわゆる普通の理性のことを指す.
2.実践理性:
いいことを実践しようとする意思能力.
※ただし物体の背後にあるもの(物自体)は認識の外側にあります.例えば,神,お化け,魂などは認識の外側にあります.
カントというのはとても真面目な哲学者です.理性とは何か,善とは何かということについてとにかく徹底的に考えました.
・どのように生きるべきなのか
次に,カントは『道徳法則』という人間が従うべき道徳の法則について考えました.ここでいう道徳法則とは「実践理性」のことを指しています.
定言命法:
「〜せよ」と無条件に善い行いを命じるもの.カントはこの考え方が良いとした.
仮言命法:
「もし〜なら…せよ」という条件付きの命令.カントはこの考え方は純粋な善行ではなく良くないとした.
さて難しい言葉が出てきてよくわからなくなってきたと思うので例をあげてみましょう!
※めっちゃどうでもいいことですがこの女の子が元カノさんに似ていて複雑な気分です...笑.
あなたは学生です.ある雨の降っている日,校舎の玄関口で可愛い女の子が立っています.あなたはその子のことが好きです.どうやら女の子は傘を忘れたようで困っています.あなたは2本傘を持っていたのでその子に貸してあげました.
というシチュエーションがあったとしましょう.あなたは傘を女の子に貸してあげたので善行をしました.
しかし!カントに言わせるとこれは良くない善行になってしまいます.なぜなら,あなたはその子に好意を持ってもらいたくて傘を貸したからです.「女の子が自分に好意を持ってくれるならば傘を貸してあげよう」という定言命法が成立します.
カントが超真面目であると言った理由がお分かりになったことでしょう.カントは善行として評価されるのは「善意志」つまり純粋な善の意志に導かれた場合のみ良いとしたのです.
このカントの真面目ぶりを現した有名な言葉があります.
「汝の意志の格率がつねに同時に普遍的立法の原理として妥当しうるよう行為せよ」
「格率」というのは自分の中で定めたルールのことです.「普遍的立法の原理」としてというのは絶対正しいことを指します.
簡単にいうと「自分の中のルールは誰に言っても恥ずかしくないようにしましょう」ということになります!
例えば「お店に売っているものは盗んでもよい」という自分の定めたルールというのがあったとしたらどうでしょうか.明らかにおかしなルールですよね.
・カントの目指した世界とは
カントの理想が目指した世界は「目的の国」というものでした.文字で見ただけだと何じゃそりゃって感じですよね.
「すべての人がお互いの人格を目的として扱い,手段として扱ってはならない」
カントは人格というものがどんなものよりも大切であるとしました.
さてこれはどういうことなのでしょうか.
例えばあなたは誰かと結婚したいと思っているとしましょう.その人はイケメンで壮麗で地位も財産もあったとします.多くの魅力を備えています.
しかしあなたは純粋にその人が好きで結婚したいと思ったでしょうか.実際には地位も財産というものがほしくて結婚したいと考えたのではないでしょうか(あくまでこれは例として話しているのでご了承くださいね!笑).
もしあなたが地位も財産目当てで結婚したいと考えた場合,その人の人格は手段として用いられたことになります.
人格を目的としている場合は,この人の地位や財産が失われたとしても純粋に愛することができるということです.
さていかがだったでしょうか.カントの批判哲学について簡単に見てきました.カントの批判絵哲学というのはとにかくカントの真面目さから生まれ,善い行いというのは何かということについて徹底的に考えた結果できました.
次回はいよいよ純粋理性批判に入っていきたいと思います!
ではでは.今回はここらへんでお暇いたします.