とある合気道の修行者ブログ

ようこそ!合気道のあれこれについて気ままにつぶやくブログになっています.ゆっくり見ていってください

合気道で主導権を握れ!!【導入】 -文字で見る合気道-

こんにちは!

 

今回は合気道で主導権を握る方法について説明いたします!

 

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今回は主導権を握るための方法として導入の説明だけ簡単にしておこうと思います.

 

武道では3種類の主導権の握り方があります.

 

・先の先(せんのせん)

相手が打ち込んでくるというのを見越して,相手が仕掛けてくる前にこちらから動作を仕掛けていきます.

 

 

・対の先(ついのせん)

相手が打ち込んでくるというのを見越して,相手が仕掛けてくるのと同時にこちらも動作を仕掛けますが相手よりも一瞬早く打ち込みます.

 

 

・後の先(ごのせん)

相手が打ち込んでくるというのを見越して,相手が仕掛けるのを許して受け,それに応じる技を仕掛けます.

 

 

今回は特に『先の先』についてご説明いたしましょう!

先の先は剣道や空手でも使われています.「先」の先ですので,自分から仕掛けていきます.少しでも相手が隙を見せたらすかさず攻撃を仕掛けていく訳です.

また,先の先でもう1つ重要なのは相手に静かな圧力をかけることです.

 

相手に静かな圧力をかける.そして相手に攻撃ができないようにしてこちらから仕掛ける,いわば先制攻撃です.

 

 

では合気道において先の先を取るとはいったいどういう事なのでしょうか?

合気道は護身術の側面を持っていますので,先制攻撃,例えば顔面パンチとか蹴りを入れることはできません.

 

私としての考察では,相手に静かな圧力をかけることが合気道の先の先ではないかと思っています.

つまり「攻撃の誘導」です.自分が狙って欲しいところに攻撃を仕掛ける,これが合気道における『先の先』だと考えています.

 

さて今回は簡単ではありますが主導権の握り方について説明いたしました.

次回は「先の先」を取るためにはどうすればよいか,その方法について考えていきたいと思います 

 

ではでは.今回はここらへんでお暇いたします.

 

 

合気道クイズ!!全問正解できますか?

 こんにちは!

 

今回は皆さんに合気道のクイズを出題いたします!

 

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結構マニアックなクイズもあるので全問正解できるでしょうか?笑

10問各10点,80点以上で合格です!!

 

私の記事からたくさん問題を出しているので全部記事を読まれた方は容易く解けるかも?笑

 

 

↓↓こちらからクイズに挑戦してみてください!! 

 

kuizy.net

宇宙はこうやってできた! -宇宙論と合気道-

こんにちは!

 

今回は「宇宙論合気道」の組み合わせでお話したいと思います!

 

意外な組み合わせだと思いますが,実は合気道の哲学には宇宙論的な要素も入っています!

あと自分が天文学が好き(もともとは大学で天文学を専攻したかった)というのもあります笑

 

今回の記事では宇宙論の中でも,宇宙の創生について古代の人たちがどのように考えていたのかをみていきます!

 

みなさんは宇宙がどのようにしてできたのかというのをご存知でしょうか??

 

現在は『ビッグバン説』が最も有力であると言われています.

 

今では科学,特に物理学の発展に伴って宇宙についても計算によって解明が進んでいます.

しかし古代では宇宙の始まりというのはもっと神聖なものとして考えられており,「神様がつくった」,「自分たちよりも前の人たちがつくった」など様々な考え方がされていました.

 

また各地方によって解釈の仕方が異なっていたりもします.それらを見ていきましょう!

 

※以下の内容はこちらのサイトを参考にさせていただきました!ありがとうございます!

http://www9.big.or.jp/~akkun/ancient_univers/ancient.htm

 

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・古代インド

古代インドには『ヴェーダ』というバラモン教聖典があり,宇宙や世界の成り立ちも描かれていました.

ヴェーダによると世界は地上・空気・天の3つに分かれているとのことです.

 

まず世界はコブラのような姿をした大きなヘビがとぐろを巻き自身の尻尾をくわえています.その蛇の上に大きなカメ,そしてその上にはゾウがいて地上を支えています.地上は3つの層に分かれています.天には神様が住んでいます.

 

※おそらくはまだ宇宙創生というよりは宇宙や世界の仕組みについて考えられていたということでしょうか?勉強不足なので違っていたらごめんなさい!!

 

古代ギリシャ

古代ギリシャではすでに太陽系の星の存在が知られていたようです.

宇宙は地球を中心としており,月・水星・金星・太陽・火星・木星土星の7つが地球の周りを周回(公転)していました.つまり地球を中心に他の星が回っているという『天動説』です.天動説はアリストテレスによって提唱されプトレマイオスによって理論が確立しました.

 

しかしこの理論では説明できないことがありました.7つの星のいくつかが規則正しく天を周っていなかったのです.天動説ではこの不規則に動く星が説明できなかったのです.それで惑わす星,つまり『惑星』と名付けられました.

 

・古代バビロニア

古代バビロニアの宇宙観では神様が登場します.シュメール人天地創造の神マルドゥークがつくったとされる巨大な丸い天井に星が張り付いていると考えていました.

 

そして地上の中央には1つの巨大な大地があり,そこに人類が住んでいるとされました.さらに大地の中央には高い山があるとされていました.大地の外側は海で,さらに外側には神が住む世界がありました.

 

古代バビロニア人は太陽や月の動きを観測していたようです.一説では,暦を最初に作ったのはバビロニア人ではないかとされています.

 

ここからは私の考察ですが,古代バビロニアは現在のイラク周辺,つまりユーラシア大陸の西側に位置していました.大きな大地というのはユーラシア大陸のことではないでしょうか.中央の高い山というのはヒマラヤ山脈?なのでしょうか.バビロニア人が住んでいた地域からはヒマラヤ山脈が離れているように思いますが...

 

古代エジプト

古代エジプトでは大地の4つの隅に高い山がありました.そして中央にはナイル川が流れています.星は天に張り付いてい天が動くと星も一緒に動きます(ここは古代バビロニアの考え方と同じではないでしょうか).

 

古代エジプトにおける太陽の神様は『ラー』です.ラーは天にあるナイル川を渡ります.ラーがナイル川を渡ることによって昼夜が変化すると考えられてきました.

 

古代エジプトでは星を観測するための高度な技術を保有していたとされ,エジプトの宇宙観では神話的な側面を持ちつつ科学的に宇宙を解明しようともしていたようですね!

 

・古代日本

最後はもちろん日本の神話からです!

 

古事記での宇宙観は以下の記事で詳しく説明しておりますので,こちらも併せてご覧ください!!

aikitommy.hatenablog.com

 

古代の日本では各地で言い伝えられた伝承などが編纂されて古事記日本書紀が作られました.古事記日本書紀ではストーリーが異なるため,今回は古事記を取り上げたいと思います.

古事記によると,世界の始まりでは,天も地も時間も空間もなく,まずそもそも世界が有るのか無いのかもよくわからない状態でした.何かもやもやっとしたものが漂っています.

そのとき,天の中心に『たかあまはら(高天原)』という場所ができました.つまり神の住まう世界です.そして,一番最初の神様こそが『あめのみなかぬし(天之御中主)』です.

次に「たかみむすひ(高皇産巣日)」と「かむみむすひ(神皇産巣日)」が現れました.しかし2柱(神様は柱(はしら)と数えるようです)も姿・形をとらえることができません

 

3柱の登場により宇宙が形成されました.また数々の神様の登場により,天と地が形成されました.また神様にも性別が生まれ1対の夫婦神も登場します.

そして夫婦神のいざなぎ(伊耶那岐)いざなみ(伊耶那美)が登場し,日本が形成されていきます.

 

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さて,ということで各地の宇宙論を見てきましたが,合気道では古事記における宇宙観が精神哲学として重要な要素となっています.精神哲学である『道文』には天の中心『たかあまはら(高天原)』や最初の神様『あめのみなかぬし(天之御中主)』も登場します.

 

※『道文』についてはこちらで紹介しておりますので,是非ご覧ください!!

aikitommy.hatenablog.com

 

他の国の宇宙観でも神様が登場します.神様は太陽神や天地創造の神様であったりと様々ですが,面白いのは宇宙(あるいは天)を神様がぐるりと囲っていたり海の外に住んでいたりと,立ち位置が違っていることですね!

 

高天原というのは,一口でいえば,全く至大天球成就おわるということになる.これ造化開闢(かいびゃく)の極元なり.高天原の意をより理解して,神の分身分業をなしてゆくところに合気道ができるのである.

 

開祖:植芝盛平翁先生はこのように唱えられました.宇宙の創造を理解するということは合気道の哲学を理解するためにも重要な要素です.

 

さていかがだったでしょうか.今回は古代の宇宙論について説明いたしました!合気道の哲学には宇宙論的な要素も入っていますので,何か哲学を理解するためのヒントになれば幸いです(私もまだまだ勉強中です!笑).

 

ではでは.今回はここらへんでお暇いたします.

 

潜入!!合気道の稽古を覗いてみよう! -師範稽古編-

こんにちは!

 

今回も私の道場の合気道稽古を覗いてみたいと思います!

私たちは週三回稽古をしているのですが,師範がいらっしゃる日と自主練日があります.

今回は師範稽古日の様子を皆さんにご紹介したいと思います!!

 

1.神棚に向かって礼

道場の畳部屋に入る前にしっかりと神棚に向かって礼をします.2礼・4拍手・1礼で礼をします.正座をして,清らかな心で神様に礼をしましょう!

 

2.体操

前回は柔軟体操としての体操の必要性を書きましたが,もう1つの重要な側面をお教えします!

合気道ではひざやへその下にある丹田が重要です.合気道の体操ではひざや丹田をしっかり意識するのでより効果的になります.

合気道の稽古は体操の時からすでに始まっています!!

 

・舟漕ぎ

片方の足を前に出し,両手を前に伸ばします.そしてカヌーなどのオールを持っているようなイメージで,両手を自分の脇に引き寄せます.前に伸ばすときには「エイ!!」,引き寄せるときには「ホ!!」といって,エイホ!エイホ!と掛け声を出しながら舟漕ぎをします.これは合気道で重要な身体の部分,例えば足,丹田(たんでん)などを鍛えるのが目的です.

この舟漕ぎをしてもらうと,結構ひざに重みがかかることがわかると思います.このひざに重みが乗る感覚がとっても大事です!

また,舟漕ぎをする時は丹田が上下に揺れないような動きをするということが重要です!丹田が上下に浮き沈みしているということは自分の重心が安定していないということになります

 

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※いらすとやさんの画像をお借りすることが多いですが,守備範囲がすごく広いですね!笑 まさか船頭のイラストまであるとは思いませんでした笑

 

・展開

体変換という身体を回転させる体操です.合気道の動きの中でも最も重要なものの1つです.まず左右のどちらかの足を一歩前に出します.次に,出した足を軸にして身体を180度回転させます.これも丹田をしっかり意識して浮き沈みしないように意識しましょう!

 

・その他柔軟体操

師範稽古の体操では特に「氣」という力を意識するようにします.合気道における「氣」の力というのは様々な解釈がありますが,私たちの道場では以下のようなことに気を付けています.

 

1.手や腕の力の脱力:

腕や手に力が入ってしまうと,相手の力を感じることができません.相手のちょっとした力の変化を感じることができるようになるには,自分の手を脱力し,差し出すような形で相手に手を掴ませることが大事です.これが身についてくると相手のどこに力が入っているかわかるようになるため,弱点を見つけられるようになります

 

2.血や神経の巡りを意識する:

これは自分の集中力を高めるために重要です.手足の先まで血や神経が張り巡らされていることを意識して,自分の身体を脳にしっかりと認識させます.

 

 

さて,これで体操が終わりました.稽古をスタートします!

 

3.基本技の反復練習

さていよいよ技の練習をしていきます!師範の稽古では合気道の奥義を教わります.詳しいお話はいつかしたいとは思いますが,今回は簡単にご説明させていただければと思います.

 

合気道の技を一通り見てもらうことでよりわかりやすくなるかと思います.ぜひこちらの記事を先にご覧になってから一読していただけますとより味わい深くなります!

aikitommy.hatenablog.com

 

※合わせて合気道の持ち手を一通り見てもらうことも効果的です.ぜひこちらの記事一読していただけますと味わい深くなります!

aikitommy.hatenablog.com

 

先ほど合気道では手や腕の脱力が重要であるということを説明いたしました.これは何のためにしているのかという理由で相手のどこに力が入っているかわかるようになるためというのをあげましたが,もう1つあります.それは相手に自分の動きを悟らせないようにするためです.

 

私たちは自分たちが思っている以上に触覚から多くの情報を得ています.そして何か自分の身に危険を感じた時に,その危機から自分を回避させるために身体がこわばります.これは生物の本能的行動なので仕方ないのですが,合気道では身体がこわばると技がうまくできなくなります.

 

例えばあなたが誰かの腕を掴んでいるとしましょう.この時相手が手を振りほどこうともがいたら逆に腕を離したくなくてより強く握ってしまいませんか?そうです,余計な力がかかると相手はますますギュッと握りしめてくるのです!

 

ではもし相手の腕を掴んでいるときに何の力も感じないまま動かれたとしたらどうでしょう.あなたは相手が力を入れていないので,相手の力を認識できず回避行動が一瞬遅れます.

 

この一瞬相手の行動を鈍らせるということが合気道の奥義として重要な要素です.私たちの道場ではこれを手や腕の脱力,そして血や神経のめぐりを意識することによって習得しようとしています.

 

4.演武

さて鍛錬ばかりでは自分がどの程度実力を備えたのかわかりません.しかし合気道には試合がありません.合気道では演武によってお互いの実力を確認し合います

持ち手や技を自由に10個みんなが見ている前で披露します.合気道では演武大会が各地方で行われますが,そこに出るための練習も兼ねています.

 

5.神棚に向かって礼

さて,稽古が終了です.稽古後もしっかりと神棚に向かって礼をします.正座をして,清らかな心で神様に2礼・4拍手・1礼で礼をしましょう!

 

 

さていかがだったでしょうか?合気道の奥義として重要な要素を1日の稽古の様子とともに解説してみました,が,これは本当に一部分の要素で,実際はもっとたくさんのことを意識しています!

なんか興味出てきたー!!という方は是非お近くの道場の門を叩いてみてください!きっとあなたも合気道の魅力を感じることができるでしょう!

 

ではでは,今回はここらへんでお暇いたします.

 

 

自主練習編の記事も掲載しています!こちらでは基本技の習得をどのようにしているのかを解説していますので,合わせて読んでもらうことで私たちの道場のことがより理解していただけると思います!

aikitommy.hatenablog.com

 

理系必見!!合気道と物理学 -モーメントとバランスを崩す条件-

こんにちは!

 

今回は「物理と合気道」の組み合わせでお話したいと思います!

 

あんまり合気道というのを理系的な視点で語られることはないんですよね...物理学を専攻された方が物理学と合気道の関連性について述べていますが,それ以外で物理学に着目した記事等は見受けられません

 

でも合気道も物理法則に基づいており,高校内容でも説明できるような物体運動があります!ということは合気道を理系的な観点で分析できるチャンスなわけですね笑.

ということで今回は理系的な視点で合気道を分析していきます!

 

※この記事は物理の内容を含んでおり,高校物理の知識が少し必要です!!理系の皆さんはどうぞお楽しみを,文系の皆さんはなんとなくエッセンスを感じてもらえると幸いです!笑

 

 

 

 

さて,高校物理を習った皆さんは「力のモーメント」という言葉に記憶はあるでしょうか?

力のモーメントとは物体に回転を生じさせるような力の性質を表す量のことを意味します.

 

 

力のモーメントは,作用点からの距離rとその点で働く力Fの積によって表されます.

 

※大学物理においてはベクトル積を用いて表されますが,今回はなるべく単純に説明するために大学物理は介入させないで説明していきます.

 

 

 

さて,ここで剛体の転倒条件について考えていきます.剛体というのは変形することのない大きさのある物体のことです.高校物理の力学においては,物体は質点という大きさのない形で解釈されることが多いですが,剛体では大きさが考慮されます.

 

今回は剛体を直方体であるとして,斜面上に剛体を設置します.この時,剛体の重心は中心部分にあるとします.

 

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斜面状の直方体とその重心

 

さて,ここでどのような力が作用するのか,剛体に働いている力を図示します

 

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剛体に働く力


このように,剛体には重力・垂直抗力・摩擦力(静止摩擦力)の3つの力が働いています.

 

ではこの斜面の角度を大きくするとどうなるでしょうか??
 

 

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傾きを大きくした場合

 さて傾きを大きくしてみました.すると重力は鉛直下向きに働くこと自体は変化しないのですが,直方体の対角線を中心に考えてみると重力の位置が変わっていることがわかります.傾きが大きくなると重力の向きと対角線の関係に変化が生じるわけですね!

 

ではさらに傾きを大きくしてみましょう!

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転倒直前での剛体の状態

 かなり傾きを大きくしてみました.剛体が転倒する直前の状態です.この状態では重力のベクトルが直方体の対角線と同じ方向になります.

 

 

私の師範の師匠にあたる高岡貞雄先生開祖:植芝盛平翁先生の口伝として「合気道とは人がつまずいて倒れるのと同じである」と申されました.つまずくというのはまさに今回お話した転倒の内容と同じです.

 

では今回の内容を合気道に当てはめてみましょう.今回は人を星型であるとして単純にして考えてみます.

 

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平地での人の重心と働く力

 

さてこれが人に働く力となります.お気づきになった方もいるかもしれませんが,人の重心というのは完全に中心にあるわけではなく,ヘソの下にある丹田(たんでん)に重心があります.したがって重心は中心の少し下に位置しています.つまり人は平地に立っている時は重心が下にあることから安定していることがわかります.

 

では少し傾いた斜面に人を立たせてみましょう!

 

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斜面上での人の重心と働く力

 

直方体と同じように,重力が対角線に近い状態になりました.

ではさらに傾けてみましょう!

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人が転倒する直前の重心と働く力

これが人が転倒する直前の状態になります.大体30度くらいになりました.

 

 

 

ここまでで以下のようなことが考察できます.

1.人間は重心が下にある分,平地においてはかなり安定した状態で立つことができる

2.しかし重心が下にある分,斜面上では重力が対角線に重なる角度が直方体と比較して小さい.したがってバランスを崩すのは人間の方が早い

 

 

そして,合気道というのは平地において擬似的に斜面を作り出し相手のバランスを崩すことなのではないかと私は考えています.

 

イメージとしては以下のような感じです.

 

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擬似的に相手を転倒状態にさせる

ここで注目してもらいたいのは,今までは登場しなかった力『相手の手を引く力』です.合気道では基本的に手を通じて相手を引っ張りますので,その分相手に力が働きます.

 

 

今まであえて話してきませんでしたが,地面には摩擦力(静止摩擦力)というものが働いています.この力がなければ剛体は転倒することなく滑り出してしまいます. 

 

つまり,相手を倒すためには今立っている地点に相手を縫いとめておく必要があるということです.これは畳の摩擦力もそうですし,相手が避けにくいような動きをするというのもこの条件に当てはまるでしょう!

 

 

 

さていかがだったでしょうか?今回は「力のモーメント」という力学の考え方を用いて相手が倒れる状況について考察をしてみました.

実際には人というのは星型のように単純な形をしていないので倒れる条件というのは様々あるかと思いますが,今回は単純化して考えてみました.

 

理系的に合気道を眺めるというのはあまり例がないので,これはチャンス!!ということで今後も理系的に合気道を考察する記事を作っていきたいと思います.

潜入!!合気道の稽古を覗いてみよう! -自主練編-

こんにちは!

 

今回は私の道場の合気道稽古を覗いてみたいと思います!

私たちは週三回稽古をしているのですが,師範がいらっしゃる日と自主練日があります.

今回は自主練日の様子を皆さんにご紹介したいと思います!!

 

私は自主練日の指導係をしているので,その日は私が稽古の指導をします.

 

1.神棚に向かって礼

武道は礼に始まって礼に終わる.道場の畳部屋に入る前にしっかりと神棚に向かって礼をします.合気道では神道式(神社など)と同じ作法をするのですが,出雲大社式の2礼・4拍手・1礼で礼をします.正座をして,清らかな心で神様に礼をしましょう!

 

2.体操

合気道では体操がとても大事です.柔軟体操の側面もありますが,合気道での動きというのは体操の中に必要な要素が盛り込まれているのです.

一例をご紹介しましょう!

 

・舟漕ぎ

まず最初に舟漕ぎという体操があります.片方の足を前に出し,両手を前に伸ばします.そしてカヌーなどのオールを持っているようなイメージで,両手を自分の脇に引き寄せます.前に伸ばすときには「エイ!!」,引き寄せるときには「ホ!!」といって,エイホ!エイホ!と掛け声を出しながら舟漕ぎをします.これは合気道で重要な身体の部分,例えば足,丹田(たんでん)などを鍛えるのが目的です.

 

・展開

これは体変換という身体を回転させる体操です.合気道の動きの中でも最も重要なものの1つです.まず左右のどちらかの足を一歩前に出します.次に,出した足を軸にして身体を180度回転させます.このとき,丹田というヘソの下の部分を意識してそこが上がったり下がったりしないように意識するとより効果的です.スポーツをされている方だと「ピボット」というターンがこの動きに近いでしょう.

 

・その他柔軟体操

特に手首や腕,首など関節などを柔らかくする体操が多いです.合気道は関節を攻める技が多く,しっかりと柔軟体操をしていない場合,捻挫をする可能性もあります.場合によっては2人組でお互いの柔軟をするという道場もあります.特に手首をしめる技が多いので,身体が硬いなあと感じておられる方はしっかりとやわらかくしておきましょう!

 

体操は5〜10分かけてしっかりと身体をほぐします.

 

3.受け身の練習

さて体操が終わったら技を....ではありません!合気道ではもう一つ大事なことがあります!受け身の練習です.

 

合気道では受け身がとても大事です.受け身については以下の記事で述べておりますので,ぜひご覧ください!!

aikitommy.hatenablog.com

 

私たちの道場では段が上がれば上がるほど受け身の練習量を多くしています.最初のうちは何回も受け身をしていると目が回りますが,回数を重ねていくと三半規管(耳にある身体のバランスを司る器官)がきたえられてだんだん目が回らなくなってきます!しっかりと受け身の練習をしましょう!

 

さて,前受け身,後受け身をしっかり練習した後は,膝行(しっこう)です!

膝行というのは膝を使って動くものです.まず正座をした後,足首を立てるような形になります.そして,左右のどちらかの足を前に一歩出します.そして身体を前に動かしながら,後ろの足を前の足に引き寄せます.最終的に正座の形になれば一歩進んだことになります!これを次は別の足で進んで...という形で前に進みます.

 

4.基本技の反復練習

さていよいよ技の練習をしていきます!基本的な技として,私たちは四方投げ小手返し入り身投げの3つを挙げています.この3つについてはどの持ち手であってもできるように,初心者から有段者までしっかりと練習します.

また,有段者は級の方にしっかり技を教えることで,全員が共通の技を確実にできるようにします!

 

合気道の技を一通り見てもらうことでよりわかりやすくなるかと思います.ぜひこちらの記事を先にご覧になってから一読していただけますとより味わい深くなります!

aikitommy.hatenablog.com

 

※合わせて合気道の持ち手を一通り見てもらうことも効果的です.ぜひこちらの記事一読していただけますと味わい深くなります!

aikitommy.hatenablog.com

 

5.太刀の技の練習

ここからは応用技です.太刀の練習では全員が木刀を持ち,木刀を振る練習をします.木刀は振り方がしっかりしていないと腕が疲れやすくなります.正しい木刀の振り方を指導していきます.

 

太刀の練習は道場によっては有段者のみということもあるようですが,私たちの道場では立ち方,構え方,振り方を通して合気道のレベルを高めるため,全員で稽古をしております.

 

※木刀の振り方についてはこちらの記事で紹介しています.ただ振るだけではなく正しく木刀を使うこと.これが太刀の技を練習する意義です.

aikitommy.hatenablog.com

 

6.呼吸

さて1日の稽古が終わりに近づいてきました.最後の稽古は呼吸です.これはお互いに正座をした状態で向き合い,受け側の人が相手の両手の手首を握ります.握られた人は,丹田を下から相手に向かって突き出しつつ,両手を相手に向かって投げ出すような形で前に突き出します.すると相手は後ろにバランスが崩れて倒れます.

 

これは丹田を中心とした重心移動の練習で,合気道の基本要素を含んでいる大事な稽古です.両手でグイグイ押すだけでは相手が強い場合負けてしまいます.自分の身体の動きに合わせて相手の力をうまく返してあげることによって相手を倒すことができます.

 

7.神棚に向かって礼

さて,稽古が終了です.稽古後もしっかりと神棚に向かって礼をします.正座をして,清らかな心で神様に2礼・4拍手・1礼で礼をしましょう!

 

 

さていかがだったでしょうか?合気道の稽古の様子をご紹介いたしました!

次回は師範がいらっしゃる日の稽古の様子を覗いてみたいと思います!

 

ではでは,今回はここらへんでお暇いたします.

 

この令和時代で武道をどうとらえるか?

こんにちは!

 

さて今回は今までとは方向を変えて令和時代での武道について考えてみたいと思います.

あくまでも私個人の考えであるということをご了承願います!

 

いきなりですが,みなさんにこんな質問をしてみましょう?

今の世の中って平和ですか?

 

残念ながら平和な世界であると我々が断言することはできないのかもしれません.世界では常にどこかで争いが起こっています.それは人種・宗教・政治などあらゆる原因を内包しています.私たちが心の中で思う真の平和というのは訪れることがあるのでしょうか.

 

ということはさておき,みなさんは武道というのをどのように捉えられているでしょうか?

 

「なんか一瞬で相手をぶっ倒してるイメージ」

「オリンピックで相手を背負い投げしている」

 

といった,試合で勝敗を決めるのもの,胴着を着ている,というイメージが強いのではないかと思います!

確かに,武道がどの程度身に付いたのかということを勝負(試合)で決めるというのもあるでしょう!

 

でも,武道というのは勝負することが本質なのでしょうか??

 

ということで,武道についてここらで考えてみましょう!

 

武道というと戦国時代や江戸時代から存在していたと思われがちですが,実は武道の登場は明治時代とされているのです.意外と最近なのです.

それまでも原型はもちろん存在していました.この時は『古武道』と呼ばれていました.古武道では合戦,護身など戦闘で必要なスキルを鍛錬することが求められました.つまり殺傷能力を伴うようなスキルです.

 

古武道の始まりは弥生時代から始まっていますが,平安時代の護衛から生まれた『武士』の台頭によって本格的に展開されたのではないかと思います.

 

時代をさらにすすめて戦国時代.剣術はさらに発展しており,より高度な戦闘スタイルとなっていました.また,各家では秘伝と言える術を密かに作り出し,継承するといったことも行われていました(合気道の原型もこの頃生まれたのではないかと言われています).

 

江戸時代に入ると状況が変わります.はじめの頃こそ内戦が起こっていたものの,中期や後期になると大きな戦争は起こらなくなりました.流派というのはこの頃から生まれたと言われ,武術は趣味として広まっていきました.また多くの流派が生まれる中で,共通するもの同士では道具やルールが統合・統一されるなど体系化もされていきました.

 

さて,明治時代に入ると武術というのものは次第に活躍の場を失っていきます.明治維新後では鉄砲などの新たな兵器が開発され,戦闘としての武術が必要なくなってきたためです.

 

明治15年嘉納治五郎が『柔道』を創設しました.この頃から武術ではなく『武道』とすべきではないかという意見が出始めます.武術では戦闘スキルのみ重視され礼儀などのいわゆる精神面の育成が疎かになってしまうのではないかと考えられたのです.

そして武術は『武道』として精神面の育成が取り入れられたのです.

 

ここまで簡単ではありますが武道の発展について説明してきました.

 

少なくとも私たちの周りで大勢の人間が命の奪い合いをしているという光景は見られません.令和時代においても,戦術によって相手を殺傷するといったことは必要がないということです.

では令和時代での武道というのをどう考えるべきか.私もまだまだ考えがまとまっていないですが,おおよそ次のようなことではないかと思っています.

 

1.礼儀

武道では礼儀作法というものを徹底的に教わります.相手を尊敬すると自然と礼儀が身につきます.自分や相手に優劣をつけるのではなく,相手を敬い接すること.それを心と体で示す方法が礼儀です.

 

2.健全な肉体と健全な精神

『健全な肉体に健全な精神が宿る』.どこかで聞いたことがあるでしょう.武道では技の習得を通して健やかな肉体を手に入れることができます.そして各武道の哲学や心構えをとおして健やかな精神を育てます.これは令和時代においても変わることはないでしょう.

 

3.強くなる

武道を習いたいという方の多くの理由がこれではないかと思います.そして強くなるというのは鋼のボディを手に入れるということではありません(もちろん!鋼のボディになるまで鍛錬することは大事です!笑).私は精神的な強さだと思っています.武道を通して自分が強くなる.すると精神的にも強くなっていきます.私もかつて喧嘩で負けたということがありました.合気道を通して,自分が強くなっていくことを自覚すると,自然と精神的にも「何かあっても負けない」という精神が身につきました.また,合わせて集中力もつきます.精神的にタフになること,これは世の中で生きていくために重要なスキルの1つということだできるでしょう!

 

以上のように,直接的に日常に結びつくものもあれば,かなり間接的に効果を発揮するものもある,これが令和の武道ではないかと考えています.技を直接使うなんて機会はおそらくほぼないでしょうし,ないに越したことはありません.私は特に武道の精神的側面を令和時代で重視することが重要であると考えます.

 

 

さていかがだったでしょうか?今回は武道について改めて考えてみました.戦闘能力を鍛える必要がなくなった昨今では,武道は精神的側面が重要になってくるのではないかと考えました.もちろん人によって武道の解釈というのは様々ですし,決定づけるようなものでもないでしょう.ただ,武道とは何かという疑問を常に持ち続け,自分なりの考えを手に入れることが大事だと思います.みなさんも武道を通していろいろなことを学ぶ機会となることを願っています.

 

ではでは,今回はここらへんでお暇いたします.